谷川流「学校を出よう! 4 Final Destination」

  • 宮野の矛盾

作中で宮野はアインシュタインの「神は賽をふらない」という言葉を真理だと思っているような発言があったが、一方で有限の平行世界の移動を認めている、この二つのの概念が共存している事は矛盾している。
「神は賽をふらない」とは確率的に状態が決定すると言うボーアの量子論に対しての批判だ。
またアインシュタインはその量子論の反証としてEPRパラドックスを提示している。EPRパラドックスとは確率的に状態が決定する概念が成り立たつ場合、光速を超えて情報が伝達しなければならないと言う仮説である。たとえば相関関係にあるAとBの現象あるとする。そこへもしAの状態に変化あった場合は、同時にBの状態も変化しなくてならない、つまりAからBへ光速を超えて情報が伝達した事になる。これは光速を超える存在を許さない考えをもつ相対論に反するため起こりえない。つまりEPRパラドックスに対しての解決がない限り確率によって状態が決定する量子論を認めないという事である。
作中の平行世界の移動は、隣の世界の人間が移動したと同時にその世界の人間も移動しているという事から、概念はあきらかにEPRパラドックスの成立を指し示している。
結局宮野はアインシュタイン、ボーアどちらの概念を支持しているのか?